期間工

期間工のメリットとデメリットを経験者が語ってみる

ここ数年「期間工」というワードが検索エンジンで多く検索されるようになってきていて、結構興味を持ってる人が多くなっていると思います。今回は期間工経験者の僕が経験者目線から期間工の仕事の内容や生活環境についてや期間工として働くメリットやデメリットを語っていこうと思います。

期間工とはどんな仕事なのか??

期間工という職業の名前は聞いたことがあってもどんな仕事か良く知らないという人は多いと思います。まず期間工というのは自動車メーカーや部品メーカーから電子部品メーカーなど幅広い製造業企業に勤める技能職種の契約社員の事です。

要するに工場で働く契約社員の事を期間工と呼んでいるわけです。ただ同じ自動車メーカーに勤める契約社員でも工業で働く技能職種の人を期間工と呼んでも事務系のホワイトカラーの契約社員の事は期間工という呼び方はまずしません。同じ企業の契約社員なのに呼び方が違うのは期間工という俗称がそれだけ定着してるからからだと思います。

もともと期間工は自動車メーカーや自動車部品メーカーが募集している事が多かったようですが、近年では自動車業界以外の製造メーカーでも期間工の採用が増えています。期間工を募集している企業はどの業界でも基本的に大手から中堅の企業が多いので、知名度が高い企業が多いです。

期間工の作業内容は??

同じ自動車関連企業だけに限っても社内には様々な部署があるので、配属先によって作業の内容は様々です。ただ共通するのは製造ラインの1つの工程に入って作業を行うという事です。基本的には流れ作業を延々と繰り返す仕事になるので、体力と根気が必要だと思います。

仕事の難易度としては基本的には誰でもできるようになっています。というのも期間工や派遣社員を多く採用しているメーカーでは人が頻繁に入れ替わる事を想定しているので、基本的には誰でも時間をかけずに作業内容を習得できるようにやり方がマニュアル化されているからです。(一部難しい作業がある場合もある)

期間工と派遣社員の違いは??

たまに製造メーカーに勤める派遣社員と契約社員である期間工を混同している人がいますが、派遣社員と期間工は雇用主が違います。派遣社員の場合は派遣会社に所属してメーカー等に派遣されてきます。一方で期間工の場合は働いているメーカー等に直接雇用される契約社員になります。どちらが良いとは言えませんが、基本的に働く人に入る収入は直接雇用の期間工の方が高い傾向にあります。

また社員登用制度や福利厚生も直接雇用の期間工にしか適用されない為に外部から派遣される派遣社員は利用できない事もあります。

派遣会社の場合は派遣会社に無期雇用で契約している人もいますし、派遣会社が間に入ってくれる事によるメリットもあります。ただ個人的には同じようにメーカーで働くならば派遣社員より期間工の方が総合的に考えてメリットが大きいように思います。

期間工には2年11カ月の縛りがある

当然ですが期間工は正社員と違って契約期間に限りがあります。企業によって少し違いがあるものの基本的に6ヵ月もしくは3ヶ月ごとに契約を更新していく企業が多いです。契約を更新していけばいつまでも働けるのかと言うとそうではありません。

というのも非正規で同一の企業が継続して労働者を雇用できるのは2年11ヵ月が限界だからです。これを超えて継続雇用すると正社員にしなくてはいけなくなります。法律でこのようなルールが定められているので、期間工を雇用している企業は2年11ヵ月のところで雇い止めをするので契約を更新できればずっと働けるわけではない事を覚えておきましょう。

一度退職した場合は6ヵ月以上空ければ同じ企業に期間工として戻れるので、2年11ヵ月勤めて半年間空けて再入社する人もいます。それ以外の方法としてはA社に2年11ヵ月期間工として勤めた後に退職して、翌月からB社に期間工として入社というパターンは可能です。その為わざわざ半年待ちたくない人は空白期間を作らずに渡り歩いています。

ちなみに更新を続けて2年11ヵ月働いた後に退職するのを「フル満了」と言ったりします。企業も仕方なく2年11ヵ月で更新をやめる事が多いので、経験者に再び戻ってきてもらえるように「フル満了」を一度した人は6ヵ月後に再入社した時に赴任手当の増額や1年目から時給が3年目と同じ金額でスタートするなど特典を受けられます。最近は人手不足で労働者の確保に積極的なので、一度フル満了した経験者を囲い込むための優遇制度を採用している企業は多いです。

期間工として働くメリット

期間工と聞くとあまり良いイメージを持っていない人も少なくないかと思います。というのも僕自身期間工をやっていると人に言うと反応が悪い事が多いからです。正社員で無期雇用が良いとされる日本だからというのもあるかもしれませんが、明らかに「契約社員やってます。」というより「期間工やってます。」と言った時の方が反応が悪い気がします。(被害妄想かもしれません 笑)

ただ期間工にはそれなりにメリットがあって特に僕のように新卒至上主義が残っているこの日本で新卒切符を持っている時に良い企業に上手く入れなかった人間にとっていろんな可能性を与えてくれる仕事だと思います。

僕自身が期間工をやってみてメリットだと思ったことを一つずつ見ていきます。

期間工は給料が良い

期間工は非正規の仕事の中ではかなり高給で20代、30代のうちは同じ製造業の正社員と比べても比較的良い給料を貰えます。しかも特別なスキルが必要なく、採用される難易度も中堅から大手の正社員に採用されるのと比べるとかなり低いです。

期間工を採用している企業はいくつもあって企業によっても給与は違いますが、400万円から500万円くらいの給与水準のところが多いです。ただ残業や夜勤があるかによっても大きく変わるので、交代勤務がなくて残業もほとんどないと400万円も稼げない場合もあります。

求人から報酬例を確認すると2交代で月20時間残業ですらトヨタやデンソーなど特に給与水準が高い企業では期間工で入社して1年目から年収400万円を超える計算になります。期間工も1年ごとに給与が上がるので、1年目が1番月給が少なくなる傾向があります。しかも1年目の最初の満了金はそれ以降と比べると低くなるので、期間工1年目の年収は特に安くなりがちです。

それでも基本的に400万を超える事が多いと考えると必要とされるスキルや経験の割に級の水準が良いと言えます。

期間工はお金を貯めやすい

期間工は給料が良いという話と少し被る部分もありますが、期間工は短期間でまとまったお金を貯めやすい環境が整っています。給与体系も正社員と違って短期の雇用を想定しているので、早い段階からある程度の額を貰えます。1年目や2年目の正社員よりは期間工の方がその年の年収は高かったりするので、短期間勤めてお金を貯めやすい給与体系です。

それ以上に期間工を採用している企業は期間工が入る為の寮を完備している企業が殆どです。無料で使えたり数千円から2、3万円の寮費のところまで様々ですが、光熱費と駐車場込みの場合も多いです。普通に賃貸を借りる場合と比べると生活コストがかなり安く済む分だけ資金を貯められますね。

割と綺麗で条件の良い物件が寮になっている企業だと1万から3万くらいの寮費を取る会社もありますが、コスパはかなり良いです。逆にみんなが嫌がるような古い物件や相部屋の寮を完備している会社は無料や数千円というケースが多いです。

大手企業の正社員への可能性がある

大手企業の正社員の可能性があるというのも期間工の大きなメリットです。比較的好景気で有効求人倍率が1倍を大きく超えるような時は企業を選ばなければ、正社員として採用されるのは決して難しくないです。しかし大手企業の待遇とはかなり差があるのが現実的なところです。

期間工を採用している自動車メーカーはじめ製造メーカーには日本を代表する大手企業が多くて、これらの企業は期間工から一定数正社員を採用しています。未だに日本は新卒至上主義の企業が多くて待遇の良い優良企業ほど、新卒入社率が高い傾向があります。

人気の企業は新卒でも相当倍率が高いので、わざわざ中途を採用するほど困っていないわけです。こうした企業に就職したいとなるとよほど経験やスキルがないといけませんが、期間工からならば他社で実績がなくてもチャンスが巡ってきます。

ただしチャンスが巡ってくるというだけで期間工である程度働いていれば誰でも正社員になれるわけではありません。実際は正社員に登用される人の方が少なくて、景気が良くない時期は社員登用枠も縮小されるので特に厳しいです。実際期間工を合計で6年近くやって7回~8回登用試験を受けても正社員になれずに退職していった人なども珍しくありません。社員登用を受ける人も様々で正直なところ落ちて当たり前くらいの努力や準備しかしていない人もいますが、それなりに日頃から努力や準備をしていても受からない人もいます。

一方で期間工として入社して半年の段階で始めての社員登用試験を受けてあっさり合格する人もいたりします。その時々の巡りあわせもあるので、努力をすれば絶対なれるものではありません。しかし待遇がかなり良い大手企業の正社員への道が開かれているという事実は確かなので、期間工をやる上での大きなメリットだと思います。

ただ注意したいのは社員登用を実施している企業の中でも期間工の社員登用に積極的な企業とそうでもない企業があるので、社員登用を目的として期間工に応募する場合は事前に下調べしとおくべきです。

期間工として働くデメリット

期間工として働く事にはメリットだけでなく、やはりデメリットもあります。どんな職業にもデメリットはあるとは思いますが、期間工という職業を選ぶならばそのデメリットも知った上で働いた方が良い思います。というのも期間工の場合は無期雇用の正社員のようにずっとそこで期間工として働き続ける事ができないので、何らかの選択を迫られる事になるからです。

期間工の仕事はスキルや経験の蓄積に期待が持てない

期間工の仕事は基本的には製造ラインの工程に入って誰でもできるようにマニュアル化された作業を延々と行う事が多いです。一部熟練度が必要な作業をする職場もあるようですが、社外に出た時に大きく評価される仕事でない事が殆どです。もちろん職歴としてカウントされるものではありますし、技能職の正社員求人に応募する時に工業での勤務経験は問われます。その時に期間工であっても勤務実績があればないよりは評価されます。

しかし期間工の場合は原則正社員達と比べると単純作業を繰り返すだけなので、同じ企業の工場で働いていても同じように評価してもらえるとは限りません。

期間工としての勤務を終えた後に次の道に進む時に困らない為にも期間工として働く場合は終わってから考えるのではなく、現役の期間工のうちから次のキャリアについて考えてプライベートの時間に行動するべきだと思います。

とは言え期間工を終えた後に他社に正社員として就職した人もいますし、自分で事業を始める人もいます。期間工を繰り返す人や正社員になる以外でもしっかり次の道を見つけて活躍している人も多いので、必要以上に悲観する必要はありません。ただ思った以上に期間工の仕事は経験としてスキルとしても外に出た時に評価されない事も多いので、しっかり自分の将来も考えながら働くと良いという話です。

期間工は急に仕事を失う可能性が正社員より高い

期間工は契約社員なので無期雇用の正社員とは違います。3ヶ月や6ヵ月ごとに更新して最大2年11ヵ月まで契約延長していくので、途中で会社の状態が悪化すれば期間工が相次いで契約更新できない状態になります。

正直なところ大手メーカーなどが期間工をある程度の割合で維持しながら製造現場を回している理由は必要な時に人員を増やして、人を減らしたい時は減らせるようにするためだと思われます。契約社員の場合は更新しなければそのまま退職になるので、正社員を解雇するよりもコストがかかりません。自動車業界などは景気や為替変動に大きく影響される業界なので、人員増減をある程度コントロールしやすいようにリスクヘッジするのは企業として当然だと思います。

また製造業はテクノロジーの進歩で少しずつ省人化が進んでいます。昔は人の手で全てやっていた作業も工作機械によって、行われるようになってきました。今後それが加速化していくはずなので、全員正社員ではなくある程度の割合で期間工を雇用しておく事で計画的に人を整理しやすいというのも目的の一つのように感じます。(実際僕が働いていた企業でもヒューマンレスに取り組んでいました。)

結局のところは正社員でも人生整理の対象になる可能性はありますが、順番としては外部から派遣されている派遣社員が最初に整理されて、次に契約社員である期間工が整理されるケースが多いです。

つまり急に仕事を失う可能性は正社員よりも高いと言えるので、これは期間工として働く大きなデメリットです。

 

寮によっては生活環境がかなり悪い

最近では期間工が使う寮の環境も全体的に良くなっていますが、未だにかなり古い物件が寮になっている会社も少なくありません。それどころか一人に一つの部屋ではなく、4LDKや3LDKの部屋に3人から4人で住む寮もあるくらいです。さすがに相部屋とは言っても自分の部屋がちゃんと割り当てられるので、他の人とずっと一緒にいるわけではありません。

しかし洗面所、台所、トイレ、洗濯機は3人もしくは4人で共用で風呂は寮全体で共用というケースも多いです。実際に僕もこういう環境で生活しましたが、今時これはかなり衝撃的でした。しかも工場って企業からしたら地価の安い場所に作りたいので、郊外の可能性が高いです。そうなると立地的にも悪いケースが多いので、都市部に住めるという希望は捨てた方が良いです。

人間怖いもので慣れると案外気にならなくなるわけですが、本当に無理な人は無理なので期間工に応募する時は応募する会社の寮の情報は調べておいた方が良いです。とは言え会社によっては普通の賃貸住宅と変わらない環境の寮もあるので、会社を選べばもとまな生活環境を維持しながら期間工として働けます。

最後にこういう人に期間工をお勧めしたい

ここまで期間工として働くメリットやデメリット書いてきましたが、経験者の僕として以下のタイプの下に期間工をおすすめしたいです。

・短期間でお金を貯めたい人

・大手製造メーカーの正社員を目指したい人

短期間でお金を貯めたい人

お金を貯めたい人と言ってもその目的は様々だと思いますが、自分で事業を開業する資金を作りたいや自動車や住宅の頭金を作りたいなど明確な目標がある人にはおすすめです。実際に期間工で資金を貯めてから飲食店などを開業する人は多いようです。

働きながら資産運用したい人にも期間工はおすすめで、どうしても中小企業の正社員では20代、30代は生活費から余剰金が出ない場合があります。(全ての中小企業がそうではありません)

資産運用は長く運用する事で優位性が出るので、20代と30代の間は余剰金が確保できないから運用できなかったというのはもったいないです。なので期間工で運用資金を作ってから長く続ける仕事を始めてもいいかもしれません。

大手製造業メーカーの正社員を目指したい人

新卒至上主義のこの国で新卒以外で人気の高い大手企業に就職するのは狭き門ですが、その可能性を与えてくれるのが期間工だと思います。大手企業の正社員になりたいという人には一つの方法としておすすめしたいです。

会社によって社員登用への意欲も違うので、事前に各社の情報を調べてから応募する企業を選ぶと良いです。社員登用に関しては会社の方針も大事ですが、その時々の業界を取り巻く環境も重要です。できれば好景気で社員登用に積極的な時期に期間工として入社して社員登用試験を受けた方が良いので、景気動向も気にするべきです。

期間工に応募する前に絶対に知っておいて欲しい話

今回期間工の記事を書くにあたっていろいろ調べていてすごく後悔している事があります。それは自分が期間工に応募した時に企業の採用ページから直接応募した事です。

なぜそれを後悔しているのかというと人材紹介会社を通して入社した方が入社祝いを多くもらえたという情報を知ってしまったからです。最初はそれだと入社した会社からの赴任手当とか貰えなくなるんじゃないかと思ったのですが、どうたらそういうわけでもなさそう。

しかも企業や時期によって違いますが、高い企業だと40万円前後の祝い金が人材紹介会社から貰えるようです。さすがにこれは後悔しかなくて情弱だった自分を恨むしかありません。(涙)

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